小皿が届く、その前に

韓国の食堂では、注文した料理より先に小皿が並ぶことがあります。キムチの横にナムル、豆腐、卵料理が置かれ、ご飯と汁物が届くと卓上の空間が埋まっていきます。初めてなら、これは前菜なのか、どの皿から食べるのか、野菜は生なのかと迷うかもしれません。パンチャン(반찬)を知る入口は皿数ではなく、一口が次の一口につながる様子にあります。

まずご飯だけを食べ、次に味のついたほうれん草を少し合わせ、さらに豆腐を分けて食べてみます。同じご飯が別の味を受け止めながら食事が続きます。コースのように前の料理を下げて次に進むのでなく、いくつもの味が最後まで手の届く所に残っています。小皿それぞれが一つの料理であり、ご飯や隣の皿と組み合わさって一食になるのです。

ここでは、ほうれん草ナムル、豆腐の煮付け、卵焼きを一緒に出す台所を考えてみましょう。特定の家庭を取材した場面ではなく、異なる調理が一つの食卓に集まる様子を見るための例です。パンチャンという一語でまとめられていても、三つを作る手の動きは同じではありません。

ほうれん草一束が小皿になるまで

袋から出したほうれん草は、そのまま味をつければよい状態とは限りません。根元や茎の間に残る土を洗い、厚い根元と柔らかな葉がどう火を受けるかを考えます。水に一度浸すだけでは、葉の重なりに入った土まで落ちないこともあります。茎を開いて洗う仕事は、盛り付けた皿からは見えません。

ゆでると葉のかさが減り、張りがほどけ、茎が柔らかくなります。同時に葉の間には水が残ります。そのまま調味料を足すと、味より先に皿の底に水がたまりやすくなります。そこで水気を絞るのですが、強くねじって葉をつぶすことと、形を残しながら水を押し出すことは別です。最後の歯触りと皿に残る水の量を、ここで調整しています。

絞った菜はひとかたまりです。それをほぐし、長い茎を食べやすく分け、外側だけに調味料がつかないよう和えます。にんにく、ねぎ、ごま、ごま油を加えれば、それぞれが香りや食感を変えます。量を増やせば必ずよくなるわけではありません。にんにくが最初に立つ味と、ほうれん草の風味が残る味では、小皿の印象も変わります。塩を使うか、しょうゆを使うかにも家庭の違いが現れます。

名前の一覧を覚えるより、この変化を追う方がナムルを理解できます。洗う、加熱する、水気を取る、ほぐす、和える。別々の動作が最後の一口に残っています。生野菜にドレッシングをかけただけの料理とは、そこまでに通ってきた時間が違うのです。

ごまを散らしたほうれん草の葉と茎
二〇一三年十二月十五日撮影のほうれん草ナムル。ごま、葉、茎の形が見えます。Hyeon-Jeong Suk · CC BY 2.0 · 縮小・WebP変換

豆腐は二度、姿を変える

トゥブジョリム(두부조림)では、切る厚さが最初の判断になります。薄すぎれば返す時に崩れやすく、厚ければ中身と味のついた表面の割合が変わります。パックから出した表面の水も整えます。水を多く含んだまま油へ入れると、はね方も表面の固まり方も変わります。

先に焼いてから煮付ける作り方では、フライパンに接した面に色がつき、少ししっかりした層ができます。中の柔らかさとは別の部分です。その面ができる前に何度も押したり返したりすると、薄い豆腐を扱いにくくなります。待つ時間は、柔らかな食材を壊さず動かせる形にする仕事でもあります。

水分と調味料を加えると、フライパンの役割が変わります。焼く時は表面を作り、煮付ける時は水分が減る間に豆腐とたれを合わせます。汁が多い時と、底に薄くたれが残った時とでは同じ火力のままでは進めにくいものです。甘味や塩味のあるたれが焦げつかないよう終盤を見ます。汁を残してご飯にのせるか、比較的乾いた一切れとして取るかで、完成の位置も変わります。

すべての豆腐の煮付けが唐辛子で赤いわけではありません。しょうゆを中心にしたものや、先に焼かず味のついた汁で煮るものもあります。表面をしっかりさせたいのか、柔らかくすくいたいのか。同じ料理名の中にこうした判断があります。醤の基礎を読むと、しょうゆは最後に茶色を足すだけの材料ではないとわかります。

赤い調味とねぎをのせた豆腐煮付け
フライパンの豆腐煮付け。焼いた面の上に赤い調味とねぎがのっています。세미짱 · CC BY 4.0 · 縮小・WebP変換

卵焼きの断面に残る動き

ケランマリ(계란말이)を切ると、黄色い層に野菜の小さな点が見えます。形の整った断面の裏では、卵の固まり具合と動かす方向を何度も調整しています。野菜を細かく刻むのも見た目のためだけではありません。大きなかけらが挟まると薄い卵の層がつながりにくく、巻く時に破れることがあります。

卵液はフライパンに触れた下側から固まります。まだ流れすぎる時に動かせば形にならず、完全に乾くまで待てば次の層とのつながりが変わります。層を重ねる作り方では、巻いた部分を寄せて空いた場所へ新しい卵液を広げ、その端を既存の卵に続けます。一度に大きく裏返すのではなく、できた部分を動かして次の層を迎える小さな仕事の繰り返しです。

巻きが厚くなったら、外側だけを見て終わりにはできません。側面をフライパンに当てて形を整え、切る時に崩れにくくなるまで待ちます。熱く柔らかな状態で急いで包丁を押し込むと、層がつぶれたり裂けたりしやすくなります。小皿の一切れには、刻む、流す、巻く、火を通す、切るという仕事が入っています。

韓国の弁当でこの形をよく見かける理由も、味だけではありません。切り分けやすい形、ご飯と交互に食べられる味つけ、隣の料理から区別しやすい断面が一緒に働きます。似た材料を混ぜて焼くだけの卵料理とは、食べる形が違います。

三皿を作る台所の順番

三つを夕食にそろえると、個々の作り方以上に順番が重要になります。菜を洗い、豆腐の水を取り、野菜を刻み、フライパンを温める作業が同じ場所で重なります。まな板は一枚か、火口はいくつか、冷ます場所はあるか。台所の条件が献立を左右します。

ほうれん草を先にゆでて冷ましておけば、和える仕事は後へ回せます。その間に豆腐を焼いて煮付けられます。しかしそのフライパンをそのまま卵に使うと、残った甘辛いたれが色や味、こびりつき方を変えます。空けて洗い、次の食材を迎える時間も「副菜三品」に含まれるのです。

盛り付けにもそれぞれの時間があります。ナムルは小分けできても、卵焼きは切る前に待ち、煮付けは汁の量によって取り分ける道具が変わります。一人で作れば料理を三回するだけでなく、その間に作業場所を何度も戻さなければなりません。多彩な食卓を豊かさだけで褒めると、この仕事が見えなくなります。

そのため家の食事には、手作りと買ったもの、前日に用意したものが並ぶこともあります。店でナムルを買い、家では卵だけ作る方法なら、異なる食感を残しながら仕事を分けられます。全部を一から作ることだけが食事への心配りではありません。量を決め、選び、出す判断も一食を作っています。

少量ずつ副菜を入れた複数の小皿
二〇一九年十一月三十日、ホンチョン(홍천)のトゥルコッサムパプで撮影。異なる料理を少量ずつ分けた小皿です。Choikwangmo9 · CC0 · 縮小・WebP変換

皿数だけでは読めない一膳

伝統的な三、五、七、九「첩」の膳を聞くと、すべての器を足した数だと思いがちです。しかし飯、汁、キムチ、調味の醤を同じように数えるわけではありません。国立民俗博物館のパンチャン解説は、数える副菜と基本として置く料理を区別しています。現代の食卓で器を数えるだけでは、その仕組みを読み違えます。

今の家庭や食堂にもそれぞれの事情があります。一人の三皿と、何人かで分ける三皿は同じ量ではありません。炒め物が中央に大きく置かれ、他の料理は少量という場合もあります。汁、チゲ、肉の料理があるかで副菜の役割も変わります。五皿は五人前という意味ではなく、皿が少なくても内容が乏しいとは限りません。

食堂のおかわりも店の提供方法として考える方がわかりやすいでしょう。決まったセット、追加注文、セルフコーナーでは運営が異なります。「無料で無限に出る食べ物」とだけ説明すると、一束を洗い、何度もフライパンを空けた台所の話が消えてしまいます。各皿がどんな料理で、今の食事で何をしているのかが、長く役に立つ問いです。

内側に模様のある空の器
副菜やキムチを入れる空の器。国立民俗博物館による二〇二一年十月二十七日撮影の写真です。국립민속박물관 · KOGL Type 1 · 縮小・WebP変換

海外の台所でも一品ずつ

海外では大きな主菜の横の写真としてパンチャンに出会うことがあります。作る段階では小さな一品にも説明が必要です。なぜ菜の水気を取るのか。豆腐の表面を焼くと何が変わるのか。なぜ卵液を一度に全部流さないのか。名前を覚える関心が手の動きを知る関心へ変わります。

英語で韓国料理を紹介するMaangchiのほうれん草ナムルの記事は二〇〇七年、卵焼きの記事は二〇〇八年に初めて掲載されました。小さな料理にも、それぞれの説明があるのです。一人の料理人の方法は、韓国の全家庭の決まりではありませんが、初めて作る人が具体的な動きを考える入口になります。自分のフライパンと道具、買える食材に照らして理解し直せます。

すべてを一度に覚える必要もありません。ひと口のほうれん草で水分とごま油の香りを知り、卵の断面で巻いた層を想像できます。そうして小皿は主菜の横の飾りでなく、知っている料理になります。キムチとキムジャンの物語では、今日のための一品と何日も先を考える料理の時間の違いをたどれます。

小さく見える仕事

私がパンチャンで面白いと思うのは、一食の中で味の方向を変えられることです。豆腐の次には菜、卵の次にはキムチ。ご飯が間をつなぎ、いくつもの選択が最後まで残ります。皿の数が最大の写真より、この食べるリズムの方が興味を引きます。

その楽しさと一緒に、菜の水を押し出す手、崩さず豆腐を返す瞬間、卵の次の層のために空けたフライパンも見たいと思います。料理の大きさと仕事の大きさは同じではありません。小さな一皿だから説明も小さい、とは言えないのです。

次に小皿が先に届いたら、一つをよく見てください。葉はどう柔らかくなり、豆腐の内外はなぜ違い、卵はどちらに巻かれたのか。その一皿を知ってからご飯を食べると、卓上は器の多い写真よりずっと具体的な一食になります。

残しておきたいかけら

パンチャンはご飯の味を変える小料理で、皿ごとに異なる仕事があります。

出典と対象範囲

食卓でのパンチャン ↗2018-08-20伝統的な첩の数え方 ↗英語のほうれん草ナムル紹介 ↗2007-09-30英語の卵焼き紹介 ↗2008-07-18豆腐煮付けの調理例 ↗2016-02-15

キムチと異なる野菜料理を一緒に並べた小鉢

stuart spivack (a flickr user) · CC BY-SA 2.0 · サイズ調整・WebP変換